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日本の法律では、結婚には婚姻意思が必要だとされています。
婚姻意思とは、お互いがきちんと夫婦として生活していくのだという意思のことです。
この意思が伴わない結婚は無効とされています。
例えばAさんが知らない内にBさんに提出されてしまった婚姻届。
AさんにBさんと結婚して共に夫婦として生活していくのだという意思が提出の時点で存在していなければ、それは有効な婚姻とはいえません。
では離婚はどうなのでしょう。
実は、離婚には結婚の時のように離婚意思が必要という決まりはありません。
離婚届を提出すれば滞りなく離婚が成立します。離婚は結婚に比べてとても簡単なものなのです。
しかし、世の中の人たちには、離婚の方が大変という印象があるようです。
確かに離婚届を提出すればすぐに離婚は成立しますが、滞りなく離婚が成立するまでがとても大変です。
決めておくこともたくさんありますし、時には揉めることもあります。
また、夫婦の片方が離婚に同意せず最終的に裁判で決着させることもあるでしょう。
離婚をスムーズに進めるためには、事前準備が不可欠です。
もちろん離婚届を用意しておけばいいというわけではありません。もっと別の準備です。
妻の浮気で離婚を考えている男性が考えておくべきことについて解説します。
考えておくべきことは「財産」「親権」「今後」の3つ
妻の浮気を疑ったら真っ先に考えるべき可能性はやはり離婚です。
離婚は前述した通り離婚届一つでできますが、相手が合意しなければどこまでも平行線です。
ただしこれはあくまで夫婦が協議により離婚する場合で、はっきりとした浮気の証拠があれば強制的な離婚を突きつけることも可能です。
婚姻について定めた法律は民法の中にあります。
一定の事由が認められれば、片方が合意しなくても離婚が認められる可能性が高いのです。
その事由は民法に列挙されており、中には浮気(不倫)も含まれています。
しかし浮気の証拠を掴んだとしてもいきなり離婚届を提出することはナンセンスです。
なぜなら子供がいれば親権について定めていなければ基本的に離婚届は受理されませんし、夫婦の財産をどうするかについても考えなければいけません。
また、離婚後の自分の生活についても考えておかなければいけません。
離婚届を提出すればそれで関係が終了ですので、財産の話し合いをしようとしても逃げられるということがよくあるのです。
いきなり離婚するのではなく浮気の証拠を掴んだのならまず、
・財産のこと
・親権のこと
・離婚後のこと
の三つはきちんと考えておきましょう。
離婚によって今までの生活はがらりと変化します。懐事情だって変わります。
だからこそ離婚後に困らないように、そして離婚を有利に進めるために準備をしておくことが大切なのです。
財産分与とは?夫婦の財産をわける作業
離婚では今まで夫婦で培った財産を財産分与として半分こします。
誤解されがちなのですが、財産分与は浮気などの片方が有責性のある離婚でなくても、二人で「これからは別々に人生を楽しもう!」「そうね、夫婦はやめて友人に戻りましょう」という前向きな離婚を決めても認められていることです。
夫婦になると生活のために赤の他人同士のものだった財布が夫婦の共有のような状態になります。
婚姻中に得た財産は基本的に生活のため、二人のために使う二人の財布になります。
だからこそ、夫婦の財布だったものを離婚に際して赤の他人である個別の財布に戻す作業が必要になるのです。
この財布を別々にする作業こそ財産分与です。
財産分与というと遠慮や引け目を感じる人がいるようですが、どんな離婚においても財産分与は基本的にできますので、夫婦で所有している財産をまずは半分にすることを考えてみてください。
しかし、半分にすると言われてもなかなか難しいですよね。
そこで、家はどうするのか、預金はどうやって分けたらいいか、自分はどれだけ必要なのかを頭の中でシュミレーションしてみましょう。もし難しければ離婚のエキスパートである弁護士に相談するのがいいですね。
不倫の離婚であれば慰謝料も!婚姻費用も請求できる可能性
考えなければいけないのは財産分与だけではありません。
他に請求できる可能性があるのは、慰謝料と婚姻費用です。
慰謝料は夫婦の片方が離婚の原因を作ってしまった場合に請求可能な「慰謝のお金」です。
相手を裏切り、結婚という契約を破綻させる原因を作ってごめんなさいという意味のお金だと考えるとわかりやすいですね。
はっきりさせなければいけないのは、慰謝料は財産分与とはまったく違うということです。
財産分与は離婚の時点で所持している夫婦の財布の中身を赤の他人になる夫婦双方に分けてそれぞれ赤の他人の財布を作る作業ですが、慰謝料はお詫びの印です。
請求できる可能性があるのは、夫婦の片方が離婚原因を作った場合です。
妻の浮気で離婚となれば妻が原因を作ったわけですから、請求できる可能性があります。
また、別居期間があれば婚姻費用の請求も可能です。
婚姻費用とは一言で言うと別居中の衣食住の費用のことです。
夫婦はお互いを扶養する義務があるので、お互いが負担できる範囲で支え合わなければいけないのです。
夫が専業主夫で妻が働いている場合、または妻の方の稼ぎが多い場合などは別居中の生活費たる婚姻費用の請求ができる可能性が高いです。
具体的にいくら請求できるかはそれぞれの夫婦事情によりますので、弁護士に算定してもらうのがいいですね。
親権も大切だけれど養育費も忘れずに!今後の生活のこと
財産分与などのお金の問題は真っ先に考えておくべきことです。
なぜなら、離婚に際しては今後のことを考えておくことも大切ですが、財産分与や慰謝料で合計幾らくらいになるのかを考えておかなければ今後の生活を具体的に考えることは難しいからです。
離婚後に夫が出て行ってアパートを借りるにしても、先立つ金額の算定は大切ですよね。
同じくらい大切なのは親権、そして養育費のことです。
子供を引き取りたいと考えるなら、親権についてどう話し合いをするかを考えておく必要があります。
相手側が争ってくることを考えるなら、親権については是非とも法律家に相談し話し合いの進め方を考えておくのがいいでしょう。
親権は一般的に母親が有利で父親が不利とも言われています。
親権を得るのであれば子育てのための費用である養育費の算定と請求についてもきちんと考えておきましょう。
最後に
妻の浮気で離婚を考えている夫が考えるべきことは主に3つです。
夫の浮気で離婚を考えている妻についても同じことを考えておくべきです。
これらのうち特に「財産」と「親権」は揉めやすいポイントです。
離婚手続きで有利に進めたい場合はきちんとパートナーの浮気調査を行い、証拠を固めておく必要があります。
そのためにはやはり調査と証拠固めはプロにお願いするのがいいでしょう。
自分で調査をするとバレてしまうリスクがあるため、プロに手助けしてもらいながら準備を進めることが大切です。
事前準備を怠らず、いざ離婚を決めたらスムーズに。
そのためにも、自分の中でシミュレーションをしておきましょう。