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離婚をする際の重要な問題として「子供の親権は母親がとるか、それとも父親がとるか」というものがあります。
片方が親権を主張していてもう片方が譲る構えであれば問題はあっさり解決するのですが、両方とも親権を譲らないとなれば、親権問題はどんどん泥沼化してしまいます。
しかも離婚届提出時に子供の親権をどちらが取るか決まっていないと離婚届は受理されません。
親権問題は離婚におけるお金の問題と並ぶ重要事であるといえます。
今回は、離婚を予定していて「親権を取りたい」と考えている方のために、親権争いで重要になるポイントを解説します。親権は母親が有利という話もありますが、それも本当なのでしょうか?
離婚をすると子供との縁も切れる?いいえ違います
夫婦が離婚するとして、その夫婦の間に子供がいるとどちらかが親権をとり、子供を自分のもとで育てることになります。
親権を手放した方は養育費の支払いという形で子供の養育に関わりますので、まずきちんとおさえておきたいのは、「親権を手放す=子供に関わらない」ではないということ。
よく勘違いしている人がいるのですが、離婚とは男女が法的な夫婦関係を解消することを指します。何を当たり前のことを?と思うかもしれないですね。でも、この基本がとっても大事。なぜかというと、離婚をすると養育費の不払いなどがよく起きるからこそ、基本はおさえておきたいポイントなのです。
離婚は夫婦関係を解消する手続きであり、「子供の父親を辞めます」「母親を辞めます」という手続きではありません。離婚をして夫婦でなくなっても、子供との縁は切れません。
子供の養育が面倒なら離婚届を出してしまえという話に繋がってしまい、大変なことになってしまいますよね。
離婚をしても解消されるのは夫婦関係のみ。
変わらず父親、母親であり続け、子供の扶養義務はなくならないということをしっかり覚えておきましょう。
なお、離婚によって夫婦関係が切れると、夫婦時にはあったお互いへの扶養義務はなくなります。また、姻族関係も終了しますので、元旦那の父母を助ける必要もありませんし、元妻の父母を援助する義務もなくなります。
夫婦お互いへの縁は切れるけれど子供との縁は切れない。子供を扶養する義務が親にはある。片方が親権を持って、もう片方は養育費という形で子供を扶養する。この関係をはっきりさせておいてください。その上で、親権について考えてみましょう。
参照 http://chester-tax.com/encyclopedia/dic07_025.html
親権争いのポイントは4つ
離婚をするにあたっては、夫婦のどちらかが親権を持つことになります。
前述したように片方が親権を諦め、もう片方が親権を持つことがはっきり決まってしまえば話は楽なのですが、どちらも親権を主張していると話がどんどん泥沼化してしまいます。
二人だけで決着がつかなければ第三者に介入してもらい、話し合いをすることが基本です。
この第三者とは離婚する夫婦以外の存在ですが、夫婦の両親や兄弟姉妹に介入してもらうと、片方への肩入れや孫は自分たちの方で引き取りたいという第三者の主張がせめぎ合い、さらなる泥沼化を招くこともあります。
できれば弁護士などの法律の専門家を交えて話し合いをしたいところです。
第三者として弁護士に介入してもらったら、
- 自分が親権を持って引き取りたいこと
- 子供を扶養するだけの財力があること
- 子供と過ごす時間があること
- 子供のために今までこれらのことをしてきたということ
をはっきりと主張しましょう。
最終的に弁護士が取りなしても親権の決着がつかない場合は調停や裁判で決着をつけることになります。裁判や調停で親権を争う時のポイントも、弁護士にはっきり主張すべきポイントと同じです。この四つは確実に「相手より自分が有利だ」というところに重点を置いて主張できるようにしておきましょう。
親権とは子供を監督し、育て、重要な手続きを親として代わってする権利のことです。だからこそ「自分は子供のためにこれだけできます」という部分を主張することが重要なのです。
親権争いでは「子供の今後を考える」うえでどちらの親が親権を持つか判断
どうしてこの四つのポイントが親権争いで大切なのかというと、それは全て「子供の今後のため」を考えた上で重要だからです。
両親は離婚で揉めていて親権争いでも離婚を中心に話してしまうかもしれませんが、親権争いで重要なのはあくまで「子供の今後の養育のためにはどちらが親権を持ったらいいか」なのです。
そのためにまずはっきりと親権は自分が取りたい、そして自分が取った方が子供の養育に有益であることを主張しましょう。
親権が欲しいなら黙っていては駄目です。必要な主張はしっかりしていきましょう。
親権をとる上ではお金や金銭感覚も重要?計画性もアピール
しかし、裁判所での親権争いになったとすれば、「自分が親権を取りたい」だけで裁判所は納得しません。
なぜなら、子供の養育には時間も手間もお金もかかるから。これって親にとっては「本当に大変よ」と納得するところではないでしょうか。
学校に支払うお金に毎月のお小遣い、服や小物にかける費用だって必要です。
ですから、「働く気もないですしお金もないですけど親権が欲しいです」と言っても裁判所は「あなたは何を言っているのだ」という話になります。
お金はやはり「あります」「毎月このくらいの安定収入があります」「預金があります」と、なるべくあることをアピールした方が有利です。
しかし、専業主婦で稼ぎがないからといって物凄く不利というわけではありません。「養育費と合わせて自治体の助成金を申請する予定です。
離婚後は仕事をしますので、給与の収入もあります」と、今後のこと、そして子供を育てるだけのお金があること、金銭感覚がしっかりしていることをアピールし裁判所を「それなら大丈夫ですね」と納得させればいいだけの話です。
子供を養育するだけのお金がある。お金を捻出できる。制度を使う。養育費を使えばまかなえる。など、子供を生活させるだけのお金があることはしっかり裁判所にアピールし納得してもらいましょう。
子供にさく時間はある?仕事ばかりで子供を放置ではマイナス
また、子供と過ごす時間があることをアピールするのも大切なことです。
相手が「お金は捻出できるけれど、仕事で忙しくて子供と過ごす時間がない」と主張したとして、こちらは「お金も捻出できますが、子供の学校の手続きや、休日の買い物など、子供にかける時間もしっかりとれます」と主張したとします。
あなたが裁判所だったら、どちらがより子供の養育に良いと判断しますか?もちろん後者ですね。
また、いざという時に子供を看てくれる両親がいるなども良いアピールポイントになります。
子供を育てるために自分がきちんと子供に寄り添い、世話をしてきたということも主張しておきましょう。お金は捻出できるけれど、今まで妻に子育てを任せきりの夫が急に「離婚したら全部面倒を看て時間も作ります」と主張したとしても、説得力がありません。
今まできちんとやってきたからこれからもできるということをアピールしましょう。
親権はやっぱり母親が有利なの?なぜ有利と言われるのか
親権は母親が有利という話をよく耳にします。
ここまで「子供の養育のお金がある」「子供のために時間が取れる」「今までそれ(時間を取って子育て)をしてきた」ことを親権争いで主張しましょうという話をしましたが、この親権争いでの重要ポイントを考えると、皆さんは父親と母親どちらに有利だと思いますか?
日本では主に母親が子育てをしているという現状があります。お母さんは今まで子育てを実際にしていて、子供のために時間を捻出しようと結婚後には仕事をやめた、あるいは正社員からパートに切り替えたという方もいらっしゃるはず。
別に裁判所が贔屓しているわけではなく、養育に重要なポイントを母親が満たしていることが多いということなのです。
しかし近年、専業主夫という言葉も登場しているように、父親が家事や子育てを積極的にするようになっています。
母親が有利なのは、母親が子育ての主軸を担うことが多いからであって、父親が主軸であれば父親の方が「今までやっています」ときっぱり言い切れるわけですから、もちろん主張として有利になると考えるのがいいでしょう。
つまり、絶対に母親が有利というわけではないということです。
これらのポイントを踏まえ、その上で弁護士などの法律家に相談して、親権をどうしたいのかじっくり考え、必要なことははっきり主張することが大切なのです。