パートナーの浮気が発覚した場合、まずは話し合いからはじめることが一般的ではないでしょうか。離婚届を突きつけるにしても、話し合いの席を設けることでしょう。この段階で浮気を認めてパートナーに謝罪し、反省すべきところは反省して家庭生活をやり直そうと前向きな決着をつけることは浮気問題に頭を悩ませる夫婦にとっては理想的な解決かもしれません。
しかし、家庭の問題は浮気だけではないため、常日頃のお互いの態度や金銭問題、親族問題、価値観の相違、教育方針の違いが浮気に深く絡んでいることもあります。浮気を糾弾してもとぼけたり、逆に怒り出したりするパートナーもいるため、家庭での話し合いでは決着がつかないことも珍しくありません。離婚となると養育費や親権、財産分与、婚姻費用といったお金の問題も絡んできます。浮気を認めてもこういったお金の問題のところで話がまとまらず離婚届の提出にこぎ着けることができないという夫婦も珍しくありません。
家庭の話し合いで離婚に関する諸々の問題に決着がつかなければ、最終的に裁判所で決着をつけることになります。しかし、裁判所で決着をつける場合に気になるのはやはり費用です。浮気によって裁判所を活用する場合、どのくらいの費用が必要になるのでしょうか。離婚裁判を中心に、費用面についてお話しします。
離婚について考える!考えて選びたい調停と離婚の違い
離婚裁判費用の話に入る前に、裁判所での手続きについて簡単にお話しします。
裁判所というと、皆さんには「裁判」という印象が強いのではないでしょうか。確かにその通りではあるのですが、裁判所は決して裁判だけをするところではありません。他にも「どんなことで困っているか」「どんなことで揉めている」かによって、裁判所のどんな手続きが適するかが変わってきます。
例えば離婚後に養育費の未払いで揉めており、すぐに強制執行が可能な公正証書が手元にあるということであれば差し押さえや強制執行といった手続きもあります。支払いの督促をしたいということであれば、裁判所から督促状を送達するという手続きである支払督促といった手続きもあります。
離婚問題といっても金銭の支払いから親権まで内容は様々です。だからこそ、問題に合わせた手続きを使って解決を図ることが必要なのです。
自分が抱える浮気や離婚の問題にはどんな解決法があるかを、弁護士に相談し手続きの優先順位を決めることによって問題解決がスムーズになります。
その上で、もし離婚を「調停」や「裁判」で解決するとなった場合に、この二つはどう違うのかをおさえておきましょう。
調停は「裁判所を使った話し合いでの解決」をはかる手続きです。会議室のような部屋で当事者や調停委員がラウンドテーブルに就き、双方の主張を出し合った上で調停委員の協力のもとで話し合いをまとめることになります。
判決というかたちで裁判官が結論を出すのではなく、あくまで話し合いです。「法律でこのように決まっているからそのようにしなければならない」というふうに決めるのではなく、「双方の妥協点や納得点を話し合いの中で探って結論を出そう」という取り組みが調停です。あくまで話し合いですので、話し合いがまとまらなければ調停は不調に終わります。
対して裁判は「双方の主張を出し合って、裁判官が判決(結論)を下す」という特徴があります。
調停は調停委員というその道のプロが主張を整理し、足りないところがあれば補足し、双方の話し合いの妥協点や納得点を促してくれるという特徴がありますが、裁判は最終的に双方の主張や法的な観点から裁判官が判決を下すという特徴があります。
このように、裁判所でできる手続きは裁判だけではありません。一言に離婚問題といってもいくつかの手続きが解決のための候補となる場合もあります。弁護士に相談し「自分が望む解決法は」「費用は」「解決までどのくらいの時間がかかるか」を考えて選ぶことが重要になります。
最低費用はどのくらい?浮気での離婚について
裁判所での手続きは裁判だけでなく、裁判所では色々な手続きができるという話をしました。手続きの違いは費用の違いであるため、二つ以上の手続きを選択できる場合は費用面を考慮することも大切です。特に離婚問題の場合は調停と裁判のどちらを選択すべきか悩むことも多いため、前述した内容の違いと合わせて費用についてもよく考えてみましょう。
離婚裁判の費用は、最低でも数万円~と言われています。これはあくまで裁判所での手続きに必要になる印紙代・切手代・提出する書類代(戸籍謄本など)や裁判所まで交通費の合算に過ぎません。訴訟の争点となる金額が高額になるとこうした手続きに必要な金額が変わってきます。取得する書類なども変わってくる場合があり、その分だけ費用がかさむことがあります。
「数万円~できる」と解釈するのではなく、「最低でも数万円~で、トラブルの内容や書類の取得費用、裁判所への交通費によってかなり変わってくる」と解釈した方がいいでしょう。場合によっては数十万円や数百万円必要になることも覚悟しなければいけません。
さらに弁護士費用も必要!浮気での離婚について
さらに弁護士費用が別途必要になります。
弁護士費用は大きく「相談料」「手付け金」「経費」「成功報酬」に分かれます。この三つの合計が弁護士費用となります。最近は相談費用ゼロ円としている弁護士事務所もあるため、相談料は必須というわけではありません。相談料を必要とする弁護士事務所としない事務所があります。
手付け金は離婚裁判を代理人として引き受ける契約を結ぶ際に支払うことになります。これは裁判の結果がどうなるかに関わらず必要になる費用です。
経費は弁護士が弁護のために裁判所へ足を運ぶ際の交通費などがこれにあたります。成功報酬はクライアントが望んだ結果になった時に支払うお金です。基本的に裁判に負けた(望む結果が得られなかった)場合は請求されないことになります。
手付け金や成功報酬は定額ではなく、パーセンテージで表示している事務所がほとんどです。パーセンテージとしては数パーセントから20パーセントくらいが一般的です。
「1億円請求したい」というふうに額が大きくなるとパーセンテージがその分だけ低くなり、「100万円請求したい」と額が小さくなるとその分だけパーセンテージが小さくなるように設定していることが多いです。弁護士事務所によって料金設定が変わってきますので忘れずに確認しましょう。
離婚裁判の費用はこうした弁護費用と裁判のために裁判所で手続きをする費用の合算となり、相場は数十万円以上とも言われます。もちろん財産分与や慰謝料の額によりもっと高額になる可能性があります。
最後に
離婚裁判費用は「裁判のために裁判所で使う印紙や切手のお金や手続き費用」と「弁護士を依頼し相談料と着手金、経費、成功報酬の合計」を合算した額になります。数十万円以上と世間一般で言われている相場にはかなり額の開きがあります。それは一言に離婚裁判といってもそれぞれの夫婦で「何で揉めているのか」「どのくらいの額で揉めているのか」に違いがあるからです。
相場はあくまで相場です。この金額が絶対ではありません。だからこそ離婚裁判の際はまずは弁護士に相談し、手続きの進め方や今後についてアドバイスをもらうと同時に見積もりを作ってもらうといいでしょう。その見積もりこそが「あなたのケースの相場」として参考になるはずです。